軟派な王子様【完結】
私は財布から一万円札を取り出した。


「これで足りる??」


男におごってもらうなんてありえない。


一万はきついけど…。


「んなもん俺が払う。」


当然のように翔は会計に向かう。


「そうはいかないわよ。あんたとあたしはなんでもないんだから。」

私は一万を会計に出した。

「お客様。三千円ほど足りません。」


「え゛。」


結局私は翔にお金を半分だしてもらった。

あたしとしたことが…。



「全く、意地張るからあんな恥かくんだよ。」


翔が勝ち誇った顔で笑う。


「ちゃんと返すわよ!!」

「はいはい。」



その時、翔が私の頭をぽんぽんと撫でるように叩いた。

私の胸が一瞬高鳴る。



「じゃあな。気をつけて帰れよ。一応お前も女らしいからな。」


「あっあんたもホントにチンチンついてんのかしら。」


「女がそんなはしたない言葉使うんじゃねーよ。」



私はそのまま翔の顔を見ずに、振り返らずに家に帰った。


何となく、どきどきしている自分が許せなかった。






あんなやつ…



大嫌いなんだから…






そうやって自分に言い聞かせていた。
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