憂鬱なソネット
「……………………」




重苦しい沈黙が控え室に流れる。




「………ど、どうしましょう」



「ええと………」



「あいつは電話も持ってないし………」



「今から車で迎えに………」



「いや、間に合わんだろ………」




両家の親たちが深刻な顔でぼそぼそと話し合う。



そのとき、ドアが開いて、式場の人が顔を出した。




「………あのぉ、新郎さまもうおいででしょうか。

そろそろお着替えをなさらないと………」




親族一同が硬直する。



すると、お父さんがずいっと前に出た。




「ええ、あの、すぐに行かせますので、少し外でお待ちいただいてよろしいですか?」




みんなが驚いたようにお父さんを見たけど、お父さんは「心配ない」というように大きく頷いてみせた。




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