この思いを迷宮に捧ぐ
懸案13

女王の体調不良に関する件

「いけないことだと、わかってはおります。ですが」

女の声がして、千砂は窓から中庭を見た。

ふと下を見下ろしたとき、女が男の胸に身を寄せるところで、千砂は息が詰まるかと思った。

黄生がいたときには、げんなりするくらいに見慣れていたのに、久しぶりだったせいか、自分でも驚くほど動揺した。

「お慕いしてしまいました、殿下」

嘘。


まして、相手の男が翠だったことに気付かされると、なおさら千砂の驚きは大きくなってしまったのだった。


いかにも美しく魅惑的な女に、へらっと笑って、翠はありがとうと言う。
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