この思いを迷宮に捧ぐ
懸案15

女王の配偶者の資質に関する件

「ただいま、千砂」

「お帰りなさい、お母様」

変わらずに明るい笑顔で、部屋に入ってきたのは母だった。


千砂は、この人は何があってもブレないと思う。

さすがに父が亡くなったときは萎れていたが、子供たちが跡継ぎ問題で大変なときは、さっさと故郷に消えたし、千砂の結婚が決まったら色めき立って戻ってくる。

まあ、一緒になって覇権を争うよりはましかもしれない。千砂はそう思うことにしている。


「少し痩せたのではない?」

ぎゅうっと抱きしめると、そう問いかける。

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