黒うさぎからの招待状
「何…で…!賢也ぁ!!」
アタシは賢也に駆け寄った。
「ねぇっ!賢也っ…!返事してよぉ!」
今、ここがどこだか分からない空間に、アタシの声が虚しく響いた。
「じゅ…り…!」
「へ…?」
賢也を見ると、かろうじて目を開けていた。
「賢也ぁっ…!」
アタシは賢也を抱き起こした。
「賢也っ…!何があったの…?」
「っ痛…!触んな…!」
「え…?」
見ると、腕に刺されたような傷があった。アタシはそこをガッチリ掴んでいた。
「ごめんっ!」
アタシは慌てて手を離した。
刺されてどれくらいたったのか分からないが、血はまだ乾いていない。
「何があったの…?」
「見た通り…だ…。」
「見た通りって…、分かんないよっ…!」
「俺は…もう死…ぬ…。」
「え…?」
「最後に…言って…おく…。」
「ちょっと…!」
「ありがと…な…。それ…と…、あい…つは…。」
「え?」
「…。」
「ちょっと…!ふざけないでよ…。」
「…。」
「賢也っ…!賢也!嫌ぁあぁ!!」
アタシの意識は、そこで途切れた。
< 236 / 300 >

この作品をシェア

pagetop