リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜



「最上階ってすっごい景色が綺麗ですね!」


店内に入ると、6人用の広めの個室に案内された私と部長は、向かい合わせに座った。


「女は景色とか甘いものを見たら不思議とおまえみたいにテンションが上がるよな。俺には全く理解出来ない」


外の景色に目をやってばかりの私と違って、部長は淡々とメニューに目を通している。


しばらくして着物姿のスタッフの方が現れると、部長は慣れた様子で注文を始めた。



「いきなりで申し訳ないんだけど、料理長のお任せ懐石って今日も出来るかな?」

「はい、料理長には青山様がご来店されたとお伝えしておりますので可能でございます」

「ありがとう。じゃあ、以前も食べたんだけど、今日も伊勢エビの酒煎りと、牛ロース肉の一口寿司を入れてくれるとすごく嬉しいですと伝えててもらえますか。あと、日本酒のスパークリング系を」

「かしこまりました」


注文が済むと、スタッフの方は個室から出て行き、すぐに飲み物が運ばれてくると二人だけの静かな空気に逆戻りした。


「飲めるか?ちょっとくらいなら」

「はい…少し、なら」


部長が先に青色の瓶に入ったお酒を私のグラスの注いでくれたので、私も部長のグラスにお酒を注いだ。

グラスの底からは、細かい泡がゆっくりと立ち上っていた。


「じゃあ、お疲れさん」

「お疲れさまです」


軽くグラスを当て合い乾杯すると、そのままそれを口に運んだ。


炭酸の入った日本酒らしいけど、想像していた匂いの強い日本酒のイメージよりも、思っていたより飲みやすかった。


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