リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜


「今日ならいいって。今日の私なら付き合ってやるって、ウソでもあんなふうに言ってくれたことが…嬉しかったんです。このワンピースを着れた私に、似合ってんじゃね?って。そう言ってくれた時、飛び跳ねたくなるくらい…嬉しかった」


みっともない。泣くなんて。
情けない。かっこ悪い。もう、最低最悪。


「ずっと大っ嫌いだったのに…っ…。嫌いでたまらなかったのに…。あんなふうに言うから…好きになっちゃったじゃないですか……っ…」

「わかったから泣くなって」

「…っ…泣いてません!」


泣き顔を見られたくなくて、思いっきり下を向き、ベッドから立ち上がった。


「…っ、夜分にすみませんでした…っ…失礼します」

そして急いで部屋を出ようと、ドアの方へ向かった。



だけど次の瞬間。
暖かい体温が、背中から腕、そして頰まで広がっていき、私は後ろから部長に抱きしめられていることに気がついた。



「…っ…これも、テストですか」

「……違う」

「じゃあ、なんなんですか?…っ、部長こそ軽々しくこんなことが出来る人だなんて…ガッカリです。青山さんと同じじゃないですか…」

「俺をあいつと一緒にすんな」

「だったら!何でこんなことするんですか?…っ…もう…離し」


そう叫んだ時。

後ろから抱きしめられていたはずの私は、あっという間に部長の胸の中にいた。


そして。


「本当おまえうるさい。ちょっと黙れ」


部長はそう言うと、私にそっとキスをした。



「…っ⁉︎…」


びっくりし過ぎてなのか、頭の中がどんどん真っ白になっていった。

人生で、初めてのキスだった。

優しくて、どこか甘くて。何がなんだかわからなくなって。

だけど同時に、キスだけでこんなにも気持ちが伝わり合うものだということを、ファーストキスは私に教えてくれた。


< 405 / 407 >

この作品をシェア

pagetop