クールで不器用な君。
えっと…和食だからご飯、お味噌汁、肉じゃが、きゅうりの漬け物、あとお魚かな。
少し多いかな?
まあ、男の子だもんね、多いに越したことはないよね。
よし!
まずは材料っと。
人一人入れそうなくらい大きい冷蔵庫を開けると、みっちりと食材が詰め込まれていた。
こんなにいらないんだけどなぁ。
傷みやすいものはそこまで多く入っていないから大丈夫だけど……。
家の冷蔵庫が何故こんなに大きいかと言うと、両親が帰ってきたときにケーキの試作品やらを作っているからだ。
大きなケーキを作ることもあるからと、大きいのを用意したのだ。
「出来た!七瀬くん、できたよ。」
テーブルの料理を並べると、ソファに座る七瀬くんを呼んだ。
「山瀬さん、料理うますぎ。俺こんな本格的な和食とか見たこと無いんだけど。」
「そうなの?まぁ、とりあえず食べようよ。」
和食らしく、器も渋めの陶器のものを使っては見たから、見た目としては上出来だと思う。
問題は味だけど。
勿論味見はしたし、大丈夫だとは思うけど、七瀬くんの口に合うかな。
七瀬くんと向かい合わせで座り、夕食を食べる。
慣れないせいか緊張してしまう。
「ん、美味しい。」
「……良かったぁ。不味かったらどうしようかと思ったよ。」
「うちのご飯より美味しいかもね。」
「またまた~。七瀬くんのお母さんに失礼だよ。」
七瀬くんは意外にも食欲旺盛で、次から次へと平らげていった。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末さまでした。」
綺麗になった器を見ると、嬉しくなった。
私の料理、おいしいって全部食べてくれたんだって。