それでも僕は君を離さないⅡ
私は彼のことばかり考えていた。

どうしても過去の彼を思い出せなくて

胸が詰まったままでいた。

そこへ突然透吾さんが来てびっくりした。

何も聞いていなかったので負い目を感じた。

「透吾さんは他に何か聞いてませんか?」

「入院したのは数名だよ。」

「そうではなくて。私のことで何か聞きましたか?」

「笹尾は君が事故でショックを受けていると言っていた。何か気になることがある?」

「いいえ。」

「心配性だな。彼は君を離さないから大丈夫だよ。」

透吾さんは両頬にクッキリとえくぼを見せて微笑んだ。

「じゃ、僕はそろそろ行かないと。お大事に。」

彼は車イスのゴムのタイヤをキュッと鳴らして帰った。

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