たとえばアナタと恋をして
どうにも出来ないあたしの前に晃がやってくる。


すっと、目の前にあのメモ紙が出される。


「ごめん。さっきつい感情的になって、持ったまんまだった」


……感情のこもっていない、声。


棒読み?


いつものチャラい晃でもなく、『彼氏モード』だった晃でもない。


無感情の、冷たい、瞳。


何か言わなきゃ。


1つでも誤解を解かなきゃ。




……だけど、あたしの喉はきゅっと乾いてしまったようで。

機能が失われたみたい。


声が出ないよ。


違う、違うんだよ、晃。
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