仲良し8人組




白とピンクで纏められた部屋のベッドから上半身を起こし、グーッと両手を上に挙げて欠伸をするひな。


高校卒業と共に始めた独り暮らしも、そろそろ慣れてきた所だろうか。



「ふあぁ。……ねむ」



再び大きな欠伸をして眠気眼を手の甲で擦りながらそう言うと、ベッドから足を出す。


そのままベッドから下りるとキッチンへと歩を進めていく。


といっても、ひなの住んでいるアパートは学生用に造られている為1Kとなっている。


キッチンなんて目と鼻の先だ。


キッチンにある水切りからマグカップを掴み取ると、その中に冷蔵庫から取り出した無糖のアイスコーヒーを注ぎ入れる。


そんな事をしているのに、ひなの瞼は重そうで開いたり綴じたりを繰り返している。


まだ、バッチリとは目が覚めていないのだろう。


しっかりと目が覚めていなくても、毎日の同じ行動は身体が覚えているというやつだろうか。


そのコーヒーの入ったマグを持ったまま、ふらふらとした足取りでもと来た道を戻っていく。


ベッドの横にはローテーブルが置かれていて、そのローテーブルの前にテレビという配置だ。


ひなはローテーブルにコツンと音をさせてマグを置くと、テレビが見えやすい位置にトンッと腰を下ろす。


そして徐に右手を伸ばすと、テーブルの上に置いてあったテレビのリモコンの電源ボタンを押した。


真っ暗な画面から明るい画面へと変わると共に、音が響く。


この時間のひなは、ぼけっとテレビのニュース番組を見ながら目をしっかりと覚ます時間らしい。


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