浅葱色に射す一筋の泪





土方「月明かりにゴキブリは照らされ、足元を埋め尽くす程の量だった………。

あれ程のゴキブリを見たのは初めてだ」


歳輝「それは精神崩壊する………」


優愛「……………………………。
父上が……やったんだよね……?」


土方「あぁ………」


優愛「何故……母上はそんな父上を許したんでしょう………」


土方「優輝菜を庇って俺が刺され、死の世を彷徨ったからな……。心臓を蘇生させたのは……優輝菜だ……。

泣きながら……な……。 その時、こいつは俺が守んなきゃなんねぇな……って思ってな……。 体が癒えて祝言を挙げた」


陸「……………………………。

俺……泣きますね〜〜〜……ズビッ!」


優愛「……………………………。

二人の様な夫婦になりたいですね……」


陸「……………………………。ズビ…
うん………」


土方「湘南連合軍の指揮官が泣いてんじゃねぇ………」


陸「酒入ってますし……。俺には家族がいなかったから……こうゆ〜のに弱いんすよ……。祝言挙げて陸斗が産まれてから………」


優愛「……………………………。
陸斗………」


土方「いざと言う時、家族を守れないのが俺らの仕事だ……。」


優愛「心得てます。武士の妻ですから………」ニコッ!


優輝菜が良く言っていた言葉………


優輝菜は武士が廃され、軍になっても、新撰組を【武士】だと言っていた……。


魂は武士のままだと………


土方「俺は……優輝菜の夫になれて良かった……。 俺の妻は……優輝菜しか考えられねぇ」


陸「やっぱ……土方歳三ですね……」


土方「何だそれ」


陸「武士よりも……武士らしかった…」


土方「ふっ! 戦い続けるさ……。

近藤さんの為にな!!!」


陸「一生着いて行きます」


陸斗「明日……優輝に謝んなきゃな」

と、ポリポリ頭をかく陸斗………。


土方「陸斗……。風呂入るぞ!」


陸斗「やった!! 歳さんとお風呂だぁ!!!」


土方は【歳さん】……優輝菜は【優輝】と呼ばせている。 実際は祖父母だが、お爺ちゃん、お婆ちゃんと呼ばれるには抵抗があり、心臓を抉られないように………。


軍人である二人は体力もあり、顔も申し分ない美しさだからだ………




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