そして僕らは罪を犯す





思わず、シャーペンをポロリと右手から落としてしまった。


いきなり、双子の弟の咲(サキ)がそんな事を言ったものだから。

しかも、真顔で。

「え、ちょっと。どゆこと?」

「どういう事って、そういう事。そのまんま」


慌てて尋ねる私とは違い、冷静に再び数学のテスト勉強を再開している。

いやいやいや。


「咲って、私の事好きなの!?
血ぃ繋がってるんだよ?」

「分かってるよ」


そう言って、ノートに向けていた目を私に向ける。

どこか真剣みを帯びていて、思わず目を反らしてしまう。

そんな、急に言われてもーー。


「花(ハナ)。こっち向いてよ」

「…う…ごめん」


そうっと、咲を見ると、ふわっと微笑まれ、言葉に詰まってしまった。



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