月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
「ああ。……実を言うとな、息子が夢だったんだ……」
「はい? むすこ?」
「そうだ。私は大工の仕事や習いの柔道で、力自慢のように生きて来た。
だから息子が生まれたら、己の心技体を磨くことを教えたいと願っていたんだ」
「はあ……」
「しかし……生まれたのは娘が二人だ。
勿論、息子じゃなかったからどうということはない。子供にかわりはないからな。
梨麻を産んだ時に女房が病気をやって、それ以上子を望むのは無理だった。
だから私は、今度は義理の息子に願っていたんだ」
「………」
(あー……)