五つの顔を持つ私
ガチャ
ガヤガヤ
目の前に広がるのはパーティー会場。
巨大できらびやかなシャンデリアが天井に吊らされ、立食形式で豪華なテーブルが所々置かれている。
中にいる人達はどれもこれも見知った顔ばかり。
財政で有名な権力者やテレビで活躍している有名人、財閥のご令嬢、御曹司、次期社長等々…まあ、金持ちのパーティーにお呼ばれしてる。
私が入った途端に変わる空気。
会場にいるすべての人の視線を感じる。
しばらく歩くと年配の優しそうな男の人が目に入った。
「おや、黒木様じゃないか」
にっこりと笑う男の人に向かって愛想笑いを浮かべる。
「東雲様、この度はこのようなすばらしいパーティーにお呼びいただき誠にありがとうございます」
「いやいや、そんなに恐縮しなくていいんだよ立場的には黒木様の方が上なんだから。
私なんて只の取引会社の一つに過ぎないのだから」
「いえ、そんな訳にはいきません。それに東雲様がいらっしゃらないとうちの会社は成り立ちませんのでむしろこちらこそ感謝しているくらいでございます」
「わはははは、まったく口だけは達者なお嬢さんだ」
「うふふ、ええほんとに。あなたも笑顔だけは立派ですこと」
この会話だけでご理解頂けただろうか。
このパーティーは決して良好なものなんかじゃない。
金持ちがパーティーを開く理由はいろいろある。
わざと自分より格下を呼んで身分の違いを見せつけたり。
その逆で位が高い人を呼んで自分達の裕福さ、財産をちらつかせて契約や取引をするためとか。
表の世界も裏の世界と同様汚いことばかりだ。
こうして見てるとキレイな世界なんて存在しないんじゃないだろうか。
「では私はこれで失礼します」