五つの顔を持つ私



「…お、…おい、起きろ」

…ん?

「ついたぞ」

ああ、もうついたか。

目の前に広がるのは決して小さいとは言えない倉庫。

でも、世界No.1の聖龍には遠く及ばず。

それどころか、聖龍と同盟を組んでいる世界No.2の天龍、世界No.3の光龍、世界No.4の神龍の足元にも及ばない。

まぁ、世界トップレベルと比べたらいくらなんでも可哀想か…。

「こい」

はいはい、言われなくても行きますよ~だ。

ガラガラ

「「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」

下っ端がいる1階を抜けて、2階の幹部室に入る。

ガチャ

「おっせぇよ、何してんだよ地味子」

入ってきてそうそう突っ掛かってきた猿。

そんな奴は無視。

「おい!シカトかましてんじゃねぇよ!!」

あ゛~、うるさい。

「連、うるさい」

ずっと威嚇していた猿も薫の容赦ない一言であえなく撃沈。

そもそも私みんなの名前知らないし。

「あ、あの…、皆さんの名前知らないんですけど…」

「「「「「え?」」」」」

「…うそ…」

「今更!?」

「そんな奴いるんだ…」

そんなに驚くこと?

きょーみないし。

仕方ないじゃない…。

「…では、自己紹介しましょうか。私は知ってると思うけど、杉下薫」

…杉下って名字なんだ…。

初めて知った。

…なんか意外。

…なんかふつー。

「ふん、誰がお前なんかに教えるかってんだ」

「連」

「…齋藤連…」

薫の無言の重圧に負けてしぶしぶ答える猿。

猿は連というのか。

…ふつーだな。

「俺は~、峰本呉羽。よろしくねぇ~、地味子ちゃ~ん♪あ、でももう地味子ちゃんじゃないか~」

…なんだ、こいつは。

もう地味子じゃない?どういう意味だ。

それにしても、呉羽か…。

ぷぷ、似合わない名前。

…人の名前笑うなんて失礼か。

「…俺は、金藤愁。地味子!話しかけてくんなよ!!」

今まで黙っていた、口を開けば暴言や威嚇の言葉しか出てこなかった男が初めて悪口以外のことをしゃべった。

「俺は満。副総長だよ。よろしくね」

「…名字は…?」

「聞かないでもらえるかな」

「…はい」

フッ、わけありか。

「俺は総長の潤だ」

…こいつもフルネーム言わない。

…ということは、全員わけあり物件か。

おもしろくなってきたー!!

「…あ、もう7時だ…。帰らないと」

「送ってく」

「いや、いいです」

「いいから」

こっちがいやなんだよ!!

体が密着するだろうが!!

後ろに乗りたかねぇんだよ!!

気持ちわりーんだよ!!

…潔癖症なのに…。


「乗れ」

「…はい…」

あれから散々抵抗したが、勝てるはずもなく、結局は乗るはめに。

あ゛あ゛~、気持ち悪い…。

蕁麻疹が出る~。

終始、顔をしかめながら帰っていった。




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