絶対王子は、ご機嫌ななめ

決意も新たに告白のタイミングを今か今かと狙っていたんだけど、私の思いとは裏腹に朝以降、政宗さんに近づけることはなかなかできなくて。予選ラウンドは、あっという間に終わってしまった。

政宗さんは遊びでゴルフをしているわけじゃない。本気でプレーしてるんだから、告白を聞くところじゃないんだろうけれど。

「誤算だった……」

ガックリと肩を落とす。

政宗さんはかなりいい成績で、予選ラウンドを突破。それはそれで、喜ばしいことなんだけど。

「政宗さん、ここを出るのはもう少し時間がかかるみたい」

智之さんにそう聞かされて、更に深く肩を落とした。

この後ホテルに帰る政宗さんを待っていれば、会うこともできるんだろうけれど。私と智之さんは明日仕事で、そろ
そろここを出発しなければいけない。

「政宗さん、待つ? 僕は構わないよ」

「いいえ、また明後日の日曜日に応援に来るんですし、今日は帰ります」

本当は今日、政宗さんに自分の気持ちを伝えたかったけれど。

智之さんはこの後まだ二時間も運転をするんだし、これ以上私のワガママに付き合わせるわけにはいかない。

これで告白のチャンスが無くなってしまったわけじゃないし、明後日の試合が終わってからでも大丈夫! 一度仕切り直しだ。

「じゃあ、行こうか」

智之さんが駐車場に向って歩き出すと、まだ政宗さんがいるクラブハウスを見上げてから、彼のあとを追った。



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