絶対王子は、ご機嫌ななめ
  *  *  *

「おい、ジャムいるか?」

更衣室で着替えをしていると、その声とともにドアが開く。

「きゃーーー!! 政宗さん、何勝手にドア開けてるんですか!? 着替えてる最中なんです、早く閉めて下さい!!」

「別に、見られてちゃマズイような身体してないだろ?」

「し、失礼な!! 私だってそれなりのものはあるんです。……って何言わせるんですか!!」

「おまえが勝手に言ってるんだろ。ギャーギャーうるさいやつだな」

うるさくさせてるのは、どこのどなたですか!! もう少し自覚ってもんを持って下さい!!

服で胸を隠し後ろを向くと、身体を丸めてしゃがみ込む。

「早く服着ろよ。飯食いに行くぞ、飯」

「は?」

「車ん中で待ってるわ。じゃ」

「待ってるわって、ちょっと!!」

振り返り呼び止めようとしたけれど、無情にもドアは静かに閉まり政宗さんの姿は見えなくなる。

飯食いに行くって、何勝手に決めてるのよ。私にも予定っていうものが……とくにないかも。

予定なんて、たまに円歌ちゃんや友達と食事に行くぐらい。後は家に直行して、夜な夜な大好きなアニメをひとり楽しんでいた。

なんて寂しい生活してるんだろう、私って……。

でもそれとこれとは話は別。

どんなに寂しかろうと私はそれで満足しているんだし、勝手に予定を決められたら迷惑だ。



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