絶対王子は、ご機嫌ななめ
第五章

  構わないでほしいのに…


「どこでも好きなところに座ってろ」

政宗さんに言われるまま、部屋までノコノコついてきてしまったけれど……。

「は、はい……」

こんな広い部屋の、どこに座って待ってろと言うの?」

ここに来るまでの車の中ではほとんど会話もなく、窓の外の流れる景色を見ていた。政宗さんの自宅は私の住む実家の隣町にあるらしく、知らない街じゃないことにホッと肩をなでおろす。

でも気が緩むのもつかの間、目の前に高級マンションが現れ「ここ」と政宗さんが一言ポツリ漏らすと、一気に緊張が体中に広がった。

車は大きなゲートをくぐり抜け、敷地内へと入っていく。五階建ての建物が点在する中央に駐車場はあって、そこで車は停まった。周りを見れば、駐車してあるのは高級車ばかり。

場違いなとこに来てしまったのではないかと、ゴクリとつばを飲み込んだ。

政宗さんの部屋の前に着くまでの道すがら、どこもかしこも高級ホテル並に素敵すぎて、緊張は高まるばかり。そして思っていたとおり、玄関もこれまた豪華で目眩がしそうだった。

マンションなのに、一軒家の我が家より広いってどういうこと?



< 96 / 222 >

この作品をシェア

pagetop