愛しいカタチの抱きしめかた




――……


「日紫喜、おはよう」、「日紫喜、これ手伝って」、「ちょっと生徒会室へ付き合ってくれるかい?」


翌日から、間宮くんはわたしにえらく声をかけてくるようになった。


放課後のことを盛大に謝られて、わたしは許してしまった。何やら色々な言葉を連ねられて、実際実害はなかったという方向へ持っていかれたような気もするけど。


「小夜~。クラス委員代わって」


「無理ね」


「……」


小夜の顔が怖くて、敢えなく挫折。




間宮くんは、不必要に近づいてこなくはなったけと、そんな様子で……。


どう相談していいか分からなくて、小夜にも打ち明けられていない……。大輔には当然。


なんとか皆を引き連れて部活帰りに百瀬を図書室に迎えに行くと、金子さんが物凄く険しい顔で睨み付けてくる……。金子さんがいない時は何故か間宮くんがいて、百瀬とは一番離れた席に座っていて……。


「日紫喜、また明日」


「あっ……うん」


百瀬は、相変わらず。それどころか、間宮くんの挑発に乗ったのはあの放課後だけで、その表情が乱れることがなかった。


変わらない笑顔で、百瀬は優しかった。

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