Cheer Up
Cheer Up
暑い夏。
青空にぽっかり浮かぶ白い雲。


―本日は体育祭である。


「まだかなあーあたしの出番」
「香菜~あんたさっき走ったばっかじゃん」
「あたしはまだまだいけますー!陸上部なめんな」
「はいはい。あ、颯君だ!あんたのライバル」
「颯ー負けんなよー!このあたしに倒される前に」
「あんた酷いね」


あたしと颯は同じ陸上部でのライバル。
いつもいつも記録とか色んな事で対決している。
そんなあたし達は昨日、ある約束をした。

『最後の団対抗リレーで勝った方が相手に一つだけ言う事を聞いてもらえる』

あたしはこれであいつに―。


「あ、颯君勝ったみたい」
「ちっ勝ったか」
「お前、よくもさっき負けろとか言ったな」
「うわあ出た。どっか行ってよ」
「忘れてないよな、アレ」
「そのためにあたしは頑張ってるんですー」
「せいぜい頑張れよ。俺に負けるまで」
そう言ってあいつは走って自分の団のところに行ってしまった。
「絶対勝ってやるー!!」


昼休み。


「あたし、飲み物買ってくる」
「いってらっしゃーい」
売店、売店……ん?何だあれ?

「……澤村颯が勝っているらしいぞ」
颯?颯がどうかしたのか?
見るとあたしの学年の男子が五人群がっていた。見ているだけで暑苦しい。


「―あいつを怪我で欠場させる」


―え!?
ちょ、ちょっとそれどういう事?
あいつを怪我させて欠場させるって……。


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