【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~


※※※


「ただいま」


母さんたち帰ってないんかぁ。


補習授業も終わり、帰ってきた俺は、家の中を見渡して朝と変化がないことに少し安心していた。


あっそうだ、昨日の服とか美沙の家に忘れて来たし。


すぐに美沙の家に向かった。昨夜一晩二人きりで過ごした家からは、

「はぁい」

と愛おしい人の声が聞こえた。


「准、おかえり」


おかえりって、一緒に住んでるんじゃないんやから。


「ただいま。あのさ、俺、昨日の服とか忘れてたやろ?」


「うん。洗濯しておいたよ。まぁ、とりあえず入って」


「あ、うん」


・・・洗濯って。


パンツとかも?


美沙が自分のパンツを洗ってるのを想像するだけで、恥ずかしかった。


「今、畳んでたところやから、テキトーに取って」


「あ、うん」


リビングのテーブルに置かれてある洗濯物の中から自分の物を探そうとした。


俺の・・・服は・・・


あっ・・・。


目の前にはレースがついているピンクのブラジャーがあった。


こんなん着けてるんやぁ。


一瞬のうちに想像してしまうと、顔が真っ赤になってしまっていた。


「あー!准、見たらあかん!」


キッチンの方から慌てて出て来た美沙に後ろから突き倒され、本気で転んでしまった。


「痛っ・・・お前な・・・」


「だってさ」


真っ赤な顔をして、俯いている美沙を見ていると、俺まで赤面しそうだった。


へ〜かわいいやん。


いたずら心に火がついた。


「美沙、あんなかわいいの着けてるんやぁ」


わざと頷き、美沙の胸を見ながら言った。


「准のアホ!」


さらに顔を赤らめた美沙に、ソファに置いてあったクッションを投げ付けられた。


「恥ずかしがるなって!一夜を共にした仲やん」


「誤解を招くような言い方するな!さっさと、洗濯物を持って帰れ!」


睨み付けながら、投げ付けられた洗濯物をキャッチすると、追い出されるようにして美沙の家を出た。





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