Ｂ級彼女とＳ級彼氏

　第2話～実験してみよう～

　深夜勤務の後。さっさと床につこうと思いきや、まだ夜が明けたばかりだと言うのに家の電話が鳴り響く。条件反射ですぐに時間を確認し、今の時間は店長ではないという結論にたどり着いた。
　この時間帯は宮川さんだ。宮川さんが出勤して来たからこそ私が上がれたのだ。
　店長からの電話で無いとすれば、きっと昼勤務へのお誘いではない。だとすると、この電話は一体誰だろう。
　ってまぁさほど悩まなくても、店長が掛けて来るのはいつも私が寝てから二時間後位の一番眠りの深い時間帯だし、この時間帯に電話を掛けて来るのは一人しか居ない。
　電話の相手があらかた予想のついた私は、だれた声で受話器を取った。

「もっしもーし」

　予想通り、受話器の向こうでピーッという公衆電話独特の音が聞こえる。その音が聞こえた時、私はまだ疲労困憊のこの身体を休めさせる事はまだまだ出来ないのだなと、重い溜息を吐いた。

「ちょっと！　出ていきなり溜息吐くってどんだけ失礼！？」
「いや、だって私今から寝ようとしてだね」
「そ。じゃ、わかった」
「あ、わかってくれる？　悪いねまたこん――」
「今すぐ行くわ」

　電話の主は吐き捨てる様にそう言うと、一方的に電話を切られてしまった。
　受話器を置き、特大の溜息を零しながら身体を起こす。渋々、今から来る客人の為に部屋の片づけを始めた。
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