恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―



「ビバ、同窓会って感じよね」

翌週の月曜日、お昼休みになると同時に「おごるから」と半ば強引に私を近くのファミレスに誘い出した広兼さんが、注文を終えるなりそう言い出した。
なんだか朝からやけにニコニコしていて機嫌がよかったから、逆に怖くて一体どうしたんだろうとは思っていたけれど……。

どうやら、この土日に何かしらの同窓会があってそれに出て、何かしらのいい結果が残ったらしい。

「彼氏ができたんですか?」

多分そういう事なんだろうと思って聞いた私に、広兼さんは唐突すぎるでしょと苦笑いを浮かべてから頷いた。

「まぁ、手っ取り早く言うとそういう事」
「告白したんですか? されたんですか?」
「んー。中学の時の同級生なんだけどね、その頃からちょっといいなぁとは思ってたの。
顔もタイプだったし運動もできたし。でも、年上の彼女がいるって噂があったからそのまま卒業しちゃってね。
今回会ったら、その噂は嘘で向こうも私の事好意的に見ててくれたって話になって、それで」
「へぇ。なんかいいですね。同窓会でとか」
「何言ってんのよ。あんないい男捕まえておいて他人が羨ましいなんて罰が当たるわよ」
「別に捕まえてるわけじゃ……」

言いかけたものの最後まで言わずに口を閉じた私を、広兼さんが不思議そうに見る。
11時半のファミレスはまだ空いていて、空席が目立つ。


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