恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


「いいの? 助けて欲しいって事でしょ?」
「いいです。気づかなかった事にしますから」
「でも、姫川だってあのふたりが一緒にご飯食べてるの見るのとか嫌なんじゃない?
いくらやきもち焼かないって言っても目の前であんなあからさまな態度取られてたらさすがに……」
「いいです。そんな事したら横田さんにも失礼ですし。さ、食べましょう。お昼休み終わっちゃいます」

心配そうに聞く広兼さんに、もう一度、本当にいいんですと言ってから手を合わせてランチを食べ始める。

胸の奥がもやもやしていた。
それは、横田さんがこちらをチラチラ見ながら、まるで見せつけるように由宇の手に触ったりするからではなくて。
浮かれているトーンの横田さんの声がこちらまで届いてくるからでもなくて。


由宇への、不信感からだった。







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