恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


まさか、お父さん、私と由宇がそういう関係だって知らなかったとか……?
でも、あれだけ頻繁に……っていうかほぼ毎晩のように私の部屋にくる由宇を知らないハズはない。
そこから推測すれば、そういう事だって気づきそうなものだけど……まさか本当に気づいてないの?

まさか、あのふたりはまるで兄妹のように仲がいいなぁとか本気で思っていたからこその、お風呂一緒に入りなさい発言だったの?

どう答えるべきなのか、よくもない頭をフル回転させている私の隣で、由宇はあっさりと口を開く。

「その事なんだけど、おじさん。
おばさんが梓織にまた見合い話でも持ってくる前に、俺の籍に梓織を入れるのもひとつの手だと思うんだけど」

由宇の爆弾発言に、お父さんは完全に動きを停止させ、オレンジジュースを運んでくれていた星崎さんは豪快にグラスを落とした。

なんて事言い出すんだと思いながら睨むように見る私を気にするでもなく、由宇の目はじっとお父さんを見ていた。
そんな由宇に、お父さんもようやく時間を取り戻し、コホンと小さく咳払いをして持っていたフォークを置く。

それから由宇と私を見て、「つまり、付き合ってるんだな?」と確認するように聞いた。

「ああ」とこれまたあっさり答えた由宇に、私もコクリと頷く。
家族でこんな話は照れくさいし勘弁して欲しい。
しかも朝からこんな……。


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