生贄七人、ながし雛

「……嫌な感じ」

 寝ている間に受信したメールは、比奈子が見つかったのかを心配しているものばかり。待っていた比奈子からの連絡は――ない。

「志帆、起きなさい!」

 リビングから、お母さんが叫ぶ声がする。ぼうっと時計を見れば午前七時だった。急がないと、学校に遅刻してしまう。

 私はばたばたと制服に着替え、お母さんが押しつけてきた朝ごはんをきちんと食べてから家を飛び出した。
 
 ◆ ◆ ◆

 朝のホームルームで、比奈子が行方不明になっていることが皆の前で伝えられた。

「何かあったら、教えてほしい」

 と担任の先生は言っていたけれど……。昨日一日何もなかったことを考えると、今から新しい情報が出てくることはちょっと期待できないんじゃないかなって思う。

「原さん、いなくなっちゃったの?」

 一限目が始まるまでのわずかな時間に話しかけてきたのは、須田彩佳。クラスで一番仲良くしているのが彩佳だ。
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