グッバイ・メロディー
⋆°。♬


厳しい冬を越えるとすぐに、全員の学年がひとつずつ上がった。

忙しく過ぎる毎日のなかで、4月生まれのこうちゃんとヒロくんは、あっというまに年齢までもを重ねていた。


17歳と15歳だって。

出会ったころは14歳と12歳だったふたりの少年は、そう呼ぶにはもうほんの少しだけ、大人になりすぎているかもしれないね。

あのときからなにも変わらない気がしているのに、着実にすべては変化しているわけで、こういうときに時の流れをずしんと感じて、なんだか途方もないような気分になる。



「はーい、そんなわけで、ハッピーバースデー!」


どこか投げやりみたいな言い方なのは、きっとアキくんも相当疲れているからだ。

それでも「誕生日なんだから」とさも当たり前のようにみんなを集めてしまうところこそ、いつでもどこでも彼が輪の中心でいる、最たる理由なんだと思う。


ちなみに17日だったヒロくんの誕生日はちょうど4人が東京に行っていた日で、お兄ちゃんたちは帰りの新幹線に乗る前に、コンビニでスイーツを買ってお祝いしたらしい。

そんな話を嬉々としてしてくれる兄の横で、弟は嫌そうに顔をしかめていたけど。

それでも、ミルクレープもタルトもエクレアも全部ちゃんと完食したというのだから、ヒロくんってどうにもみんなから愛されてしまうんだな。

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