白い監獄
私は慌てて振り返りました!

ここら辺は交通の便も悪いし、人も車もあまり通らないんですから

だからまさか人に話し掛けられるなんて、思いも寄らなかったんです!


ゆっくりと近づいて来たのは男の人でした。

真っ黒いダウンに白いマフラー、ジーパン。

もっと近くで見ると、なんと素敵な若い男の人でした!



ま、まさか運命?




一瞬そんな事を考えましたが、私は我に帰ります。

「いえ…あの…」

言うべきかどうしようか…

もし一緒に探す何て言われたら、申し訳ないし…

言わなかったら、また独り…

う〜ん…

「あ、ごめんね。俺は怪しい者じゃ無いよ。文化大の学生で竜井彼方、はい、学生証」

竜井さんは丁寧に私に学生証を見せてくれました。

国立総合文化大学工学部三年!

ホントだ…しかも工学部!すごく頭がいいんだ…

私の行きたい大学の先輩…

「それで、こんな所で何してるの?」

「実は…家の鍵を落としてしまって…」

「ええ!?お母さんに開けてもらえないの?」

「…私…一人暮らしで…」

「そっか…どういうやつ?」

「小さなテディベアのキーホルダーが付いてます…」
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