あなたの恋を描かせて
「うーん……どこだろう………」
ここに入れたと思ったんだけどなぁ。
わたしは自分の部屋にある押し入れを隈無く探していた。
探しているのはもちろん、明日ちなつちゃんたちに見せる絵。
中学のときもスケッチブックにいろいろ描いてたから、それにしようかな、って思ったんだけど。
「見つからないなぁ……」
結構探したのに……
部屋を見渡すといろいろなものが散乱していて。
あとで掃除しないと。
これ以上ここを探すのも無意味だと思い、ぼふっとベッドに倒れこむ。
「なんで見つからないんだろ……」
自分が描いた絵はちゃんと大切に片付けたはず。
捨ててないはずだよね。
「お母さんに聞けば分かるかな」
わたしはベッドから起き上がって、下の階にいるお母さんのもとへ向かう。
「お母さん」
「あら?どうしたの、あーちゃん?」
ふわり、と花のように笑うお母さんはわたしの自慢のお母さん。
綺麗な茶髪に黒い瞳。
ふわふわした髪質はお母さんの遺伝だったりする。
色はお父さん譲りだけど。
お母さんは家よりちょっと離れたところで、絵の教室をしていて。
わたしが絵を描くきっかけも、お母さんの影響だったりするんだ。