あなたの恋を描かせて




「そいつの笑顔見るとこっちまでつられて笑って。
なんか、心が温かくなる」



どうしよう……




「好きだな、って、感じる」




幸せそうに笑う浅葱が、あの人に重なって見えて。


ドキドキと、わたしの心臓がうるさいぐらいに鼓動を刻む。



「どう、しよう……」



恥ずかしそうに「あくまでオレの体験だからな!」と言っている浅葱が、わたしの呟きにこちらを向いた。



「ど、どうしよう、浅葱……」



気づいて、しまった。


自分の気持ちに。



わたし……




「恋、してるみたい」



城越くんのこと、好きになってる。



言葉に出すと更に自覚してしまって、一気に顔が熱くなる。



「全部…浅葱の言ったことに当てはまった」



会ったり話したりするうちに、わたしの中で城越くんの存在が大きくなっていて。


言葉や行動が気になって、笑顔を向けられると、自分が城越くんの特別なんじゃないかなって。


恥ずかしくて、でも嬉しくて。



絵のことだって、他の人に誉められたときも嬉しかった。


でも城越くんに誉められたときの方が何倍も嬉しくて。


また新しく描いたら見せてね、って言われたときも、それが二人だけの特別なものを感じて。


心がくすぐったくて、温かいものでいっぱいになって。



全部全部、浅葱の言ったことに当てはまる。


これが、恋………?



「もしかして、葵の好きな人って茶髪のあの人?」


「なっ、なんで分かったのっ!?」



それは自分でその人だと認めているようなものだと、吹き出した浅葱を見て気づいた。


うわぁ……恥ずかしいっ!!



「葵、分かりやすいもん」


「そんなに!?」



笑いながら頷く浅葱にカアァッ、と顔が熱くなった。



え、じゃあ、もしかしたら城越くんにもバレていたりするのかな。


だとしたらかなり恥ずかしい……!!






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