あなたの恋を描かせて
*10*

side 日向




重い気持ちの中学校に向かった。



水無瀬さんに、謝ることができるのか……


まず話すことができるかどうかも疑問だ。


考えてもどうしようもないと思うのに、頭の中はそのことでいっぱいで。



「はぁ……」



ため息がもれるのも仕方ないと思う。



「おはよ、日向」


「おはよ」



よく眠れたか?と聞かれたので曖昧に答えておく。


実を言うとあまり眠れてないし。



「そうだ。朝たまたま先生から聞いたんだけど、水無瀬さん今日休みだって」


「え……」



水無瀬さんが、休み……


何故?という疑問が浮かんだけど、内心ではほっとした。


まだ、ちゃんと普通に会える自信はないし。



「そういえば、昨日日向も濡れてたけど、何か関係あるの?」


「……あ」



もしかして……



「やっぱりあるのか」



はぁ、とため息をもらした颯に言葉が詰まった。


俺はすぐに風呂に入った、というか入れされられたから大丈夫だったけど。


もしかして水無瀬さんは……



「あんまり深刻に考えるなよ?」



ポン、と颯は俺の肩を叩いて席に戻った。


でも、水無瀬さんが休む理由なんてそれしか考えられないよな……



この日はずっと水無瀬さんのことで頭がいっぱいだった。





放課後、部活に行こうとしたとき教室のドアが大きな音をたてて開かれた。



「え、ちなつ?どうしたの?」



そこには赤崎さんがいて、俺と目があうと真っ直ぐこちらにやってきて一言。



「行くわよ」



…………え?



意味が分からず呆然としていると、ガシッと腕を掴まれて、ぐいぐい引っ張られる。



「ちょっ、俺、部活が……」



しかもカバンも教室……



「そんなのあたしが知ったこっちゃないわよ」



そのまま玄関に出ると校門には人だかりができていた。


しかも女子の。






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