press come dark behind






「夢原先生、そろそろ良いですか?」



にこりと笑うアキだけど。

その目は笑っていない。

むしろ目は、『早くしろ』と訴えている。



「ごめんね。良いよ続けて」

「わかりました。
では小島さん、依頼内容をお聞かせ願えますか?」



小島さんは頷いた後、持っていた鞄から、四つ折りの紙を取り出し、テーブルに置いた。



「この間・・・ワタシのダンナが、亡くなりまして」

「そうですか」



それだけかよ、アキ。

ご愁傷様とか言えないのか?



「亡くなった理由は、交通事故でした。
運転中に、向こうから、飲酒運転の車が来て・・・。
向こうは、トラックでしたから、普通の乗用車に乗っていたダンナは、亡くなりました」


思い出したのか、朱鳥さんは泣きだす。

しかしハンカチで目を拭いてから、また話し出す。



「ダンナが、亡くなってから、ワタシはダンナの、遺品を整理していました。
そうしたら、ダンナがワタシ宛に残した、手紙が出てきて。
もし自分が亡くなったら、開けてほしいって書いてありました」


そうなんだ。

私は1人で頷く。


「手紙には、ワタシの名前と、ダンナの名前、それに不思議な暗号文が書いてあったんです」



暗号文?

現実の世界で初めて聞いたわな。






< 51 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop