不機嫌な彼のカミナリ注意報
 どうして今、口を滑らせたのだろう。
 あとで笹岡さんたちが風見さんに怒られたら、私が告げ口をしたせいになる。
 だけど、中にいるのが誰かわかったからなのか、風見さんは乱入するのはやめた様子で、そのことに少しホッとした。

「笹岡のヤツ、戻ってこないと思ったら、あんなとこで清瀬とヤって……いや、もういい」

 壁に背を預け、腕組みをしながら言葉を濁す風見さんは、少し新鮮だ。
 この人はいつも白か黒かはっきりさせたがる人だと思うから。
 なにかに対して言葉を濁すところはあまり見たことがない。

「イチャつくアイツらもアイツらだが、お前もなんでよりによってそういう場面に遭遇するんだよ」

 不機嫌そうに口を歪めつつ、風見さんが私の顔を覗き込んでくる。



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