不機嫌な彼のカミナリ注意報
 ブラックジーンズに、上は藍色のシャツを身に纏った休日モードの風見さんがそこに居た。

 あぁ、なんて貴重な姿が見れたのだろう。
 それに、いつもより私服のほうがカッコいい。

「緒川、遅いぞ。お前で最後だ」

 私の姿を見つけると、風見さんはいじっていたスマホをシャツの胸ポケットにしまった。

「す、すみません! ていうか、風見さんが今日いらっしゃるなんて……」

「笹岡に頼まれたんだよ。車を出せ、って。なんだ、俺が来ちゃ不満か?!」

「いえいえいえ! う、嬉しいですよ!」

 思わず本音を言うと、途端に恥ずかしくなって顔が赤らんでしまった。

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