不機嫌な彼のカミナリ注意報
「お前は本当におめでたいな」

「なんでですか?!」

「じゃあ、なぜお前はそんな熱中症寸前の汗だくの顔で、清瀬はあんなに涼しげな顔してるんだよ?」

 促されるようにお肉のコンロのほうへ目を向けると、笹岡さんと清瀬さんがふたりで仲良さそうに笑い合って、お肉を焼いている。

 この前のミーティングルームでのラブシーン疑惑を思い出し、私のほうが恥ずかしくなってきてしまうけれど。
 でもこうして見ると、ふたりは本当にお似合いだ。
 爽やかイケメンの笹岡さんと、美人の清瀬さんなのだから。

 たしかに清瀬さんは朝見たままの感じで、間違っても私みたいに汗まみれにはなっていない。
 鏡を見ていないからわからないけれど、きっと今、私は汗でお化粧が崩れてボロボロの顔なのだと思う。

 ……えらい違いだ。私とは、所詮“女子力”が違うみたい。

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