不機嫌な彼のカミナリ注意報

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「で、松本さんって子、大丈夫だったの？」

「……わかんない」

　この日、私は真那と総務部の後輩の也実(なりみ)ちゃんと三人でランチをする約束をしていた。
　OLたちで混みあったカフェへ入ると、自然と今朝の風見さん怒声事件の話をしてしまう。

「風見 太雅……やっぱり噂どおりね」

　真那がそう言ってクイっと顔を嫌そうに歪める。

「寧々さんは、その人になにも言われたりしないんですか？」

　屈託のない笑みで尋ねてくる也実ちゃんは、去年の春に入社してきた子で、今年でまだ二年目だ。
　
　昨年の一年間、私や真那と総務で一緒に働くうちに気づいたのだけれど、彼女は性格が素直で明るくて、ちょっと天然なところがある。

　也実ちゃんからしたら私や真那は二年先輩で付き合いづらい部分もあるはずなのに、私たちはすぐに仲良くなった。