鈴姫伝説
第二章

誘拐




「今日も暑いね~。お姉ちゃん、お茶だよ~」


「そうだね。あ、ありがと」


ゆきなが差し出した麦茶を受けとる。


──カラ……ン


茶色い麦茶に浮かぶ氷が溶けて音をたてて、それだけでこの暑さを和らげてくれる気がする。




あたしたちはあたしの部屋に集まっている。


この部屋にはあたしとゆきなとミューマしかいない。

魔物とか鈴とかの話を他の人に聞かれたら、気まずいしね。


ざぁ……と開けた窓から入ってくる風でカーテンがふわふわと踊っている。

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