好きより、もっと。



「高田さんは、どぉして制服じゃないんですかぁ?」




着替えをしながら、純粋に疑問だ、という真っ直ぐな声でキヨちゃんが言った。

その声に、全力のきょとん顔を見せた私は、とても滑稽だったに違いない。




「キヨ、やめな」


「でもぉ、あかねさんも気にならないんですかぁ?高田さんの頑なな理由ぅ?」


「気になる?なるわけないでしょ、そんなの」


「どぉしてですかぁ?」


「男がらみに決まってるからよ」




――――――――あかね。

言葉はもう少しだけ、オブラートに包もうね。

別に間違ってはいないけど、ストレート過ぎて赤面してしまう。



あかねは素知らぬ顔で次回イベントの制服に着替えていく。

相変わらずイイ身体してるなー、なんて見惚れてしまった。




「チーフにもなって、制服着てたら締まりがないでしょう」




自分を援護するために言った訳ではない。

実際、ディレクター付きのチーフということで現場にでるからには、制服でなど動けない。


いや、『制服』と呼べないからこそ着れないのだ。




「今回のは、比較的可愛いですねぇ。あかねさん、とっても綺麗でぇす」


「確かにイイかもね。私、このタイプ結構好きですよ、アミさん」


「うん、いいね。あかねはセパレートで、キヨちゃんはワンピタイプにしようね」


「私のは、体型のカバー力がスゴイですよぉ。これなら、多少デブめな女の子も着れると思いますぅ」


「・・・キヨ。自分を差し置いてよく『デブめ』とかいえるわね」


「あかねさん、聞こえませぇん。私はあくまで『ぽっちゃり』ですから」


「・・・そうね」




キヨちゃんの眼光が、一瞬で光った。

あかねは、見てはいけないものを見た時のように、サッと目を逸らしたのだった。


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