好きより、もっと。



こちらを見つめる人達の顔色が、一瞬で変わったのが分かった。



突き刺さるような嫉妬と羨望の混ざった眼差しだった男性陣は、一瞬で好意的になる。

女性陣は、俺を一匹の『獲物』と判断したようだった。



仕事は男とするものなので、俺は男性陣の好意的な感情さえもらえれば充分だ。

だから余計にめんどくせぇ。

この顔は、女を『狩人』に変えるだから。


また女共を上手くあしらう生活が始まる。

もう、うんざりなんだけどな。




解散して席に戻るまで、オフィスの中は少しざわついていた。

けれど、そんなことに気を取られている場合ではない。

プロジェクトの概要会議に早速参加することになり、俺は足早に席を立った。




そういえば。

亜末は俺がそういう顔しても反応しなかったな。

目が点になって、俺のこと凝視して。

表情という表情が、全部無くなったみたいな顔してた。


カズに対しては、むしろ嫌悪感というか、なんというか。


ともかく、俺達二人の容姿に反応しないのは亜末が初めてだったかもしれない。

高校の頃、俺達はそれで苦労していたので、大学に入ってそんな存在に会えるなんて思いもしなかったな、と昔を懐かしんでいた。


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