穴の空いた服
穴の空いた服



ある都市でフリーマーケットがあった。

小学生とみられる女の子から年老いて腰の曲がった男性まで幅広い人達が慌ただしく準備をしていた。

そのフリーマーケットの会場の隅で1人の若い男性が準備を終わらせ、どっかりとキャンプ用の椅子に座っていた。

彼の名前は中上。いたって普通の男性だった。

中上は今朝寝坊をし、場所取りに出遅れ人の来なそうな会場の隅でやることになってしまった。

「まったく…ついてないなぁ」

風でずれた商品をとことん綺麗に並べ替える。

実は彼、彼の父が認知症で今、行方不明なのだ。

元々中上と父はあまり仲が良くなかった。子供のころも喧嘩ばかりで家出した中上を母が迎えにいくのが習慣になっているほどだった。

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