明日も晴れ
4. 約束に、落ち着かなくて

母が帰ってきたのは十九時になる十分ほど前。部屋で勉強をしていたら、玄関の戸が開くのと同時に「ただいま」と呼び掛ける母の声が聴こえた。



玄関を上がると、すぐに左手に階段がある。二階の部屋に居る私に向けて、母が呼び掛けるのはいつものこと。



リビングへ降りていくと、母は大きく膨らんだエコバッグを抱えて台所へ。
私に背中を向けたまま、



「テレビ点けて、天気予報観たい」と一言。



もう民放では天気予報は終わりかけてる時間だから、NHKへとチャンネルを変える。ちょうどいいタイミング。県内の地域ごとの詳しい予報が流れているところ。



「明日は晴れだって」

「降水確率は?」



エコバッグの中身を出しながら、母が忙しく問い掛ける。



「ゼロと二十」

「よし、タオルケット洗おう。和佳(わか)、明日は早起きしてね」



話しながらも母は、決して手を休めることはない。常に動き回っている。



少しぐらい手伝いに行けばいいのかもしれないけど、今は気が立っているだろうから行かない。母には近付かないし、余計なことは言わない。


< 25 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop