明日も晴れ
6. いろいろと、知りたい気持ち

今泉君と一緒に、こんな和食屋さんに入るのは初めて。
いつもは一階のフードコートなのに、なんだか改まるというか落ち着かないというか変な感じ。向かい合わせに座るのも、いつもと同じなのに。



私の不安など気にも留めずに今泉君はスマートに注文を済ませて、お冷をごくり。グラスの氷が触れ合う音が、胸の奥を刺激する。



今泉君の手が、滑るように伸びてきた。
とっさに体が強張って息が止まる。



視界を斜めに過って、今泉君の腕が素通りしていく。その手が掴んでいるのはメニュー。ちょうどメニューをテーブルの端に戻すところだったらしい。



私ってバカだなあ……



何を勘違いしてるんだろう。
もし覚られていたら、恥ずかしいなあと思っていると、今泉君が顔を上げた。



「芳田さん、志望校決めてるの?」



いきなりの質問は、いつものこと。



とくに笑う訳でもなく、今泉君の顔は平然としてる。



例えるなら、夏休み前の三者面談で目の前に座った先生のような顔。よそよそしくて、まるで他人事のようにも思えてしまう。






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