初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

西内は俺の首に腕を回し、キスをした。



唇を離した西内は、俺の瞳を見つめる。



「……成くん」



「ん……?」



「大好きだよ」



「……うん」



真っ暗な教室で、俺たちは何度もキスをした。



忘れたかった。



あのときのこと。



あの感触を。



華とのキスを、俺は忘れたかった。



揺れ動く心を止めたくて。



自分の過ちも。



何もかも消そうとした――。








西内に“大好きだよ”って言われるたびに、



俺は“うん”って、答える。



自分の気持ちをごまかすみたいに、微笑んで。



“俺も好きだよ”



西内はその一言を、きっと。



ずっと前から、待ってるはずなのに……。



わかってるのに言えない。



いつになったら、心から素直に口に出せるだろう。



言えないその一言を。
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