Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



(父上を安心させたい。後継者としての重圧から解放されたら、気持ちが楽になるのかな)


4つになった私は漠然とそう考えて、一生懸命に母国語を学び礼儀作法も身につけていった。

4つでは長く難しい文章は読めないし、大した内容は学べないから、文字の少ない絵本を使った個人授業で歴史等を学び。簡単な政治や税制の仕組み、いろんな成り立ちなどを勉強する。

いくら絵本でも何歳も年上向けの内容で、頭がこんがらがりそうになった時もあるけど。がんばって理解すれば、後は面白いように頭に入ってくる。


学ぶ面白さを知れば、またもっと勉強しようと思えて。ますます私は机に向かう。


母上は子どもらしくない、と心配されたようだけど。私は何より父上を安心させたくて頑張った。


桃花にも会えた時に、恥ずかしい自分でいたくない。そんな理由もわずかながらにあった。


疲れた時には彼女の笑顔を思い出せば、すぐに癒されて気力が湧いてくる。


父上の病が一進一退の状態のまま年を過ごし、年が明けて桃花と出会って1年が経ち。私が5つになった時。父上がふいに私を呼ばれたのだ。


おそらく、父上自身もご寿命を悟っておられたんだと思う。


一人息子に生きる大切さを諭された父上は……。


わずか3日後に、眠るように息を引き取られたのだった。



< 17 / 391 >

この作品をシェア

pagetop