Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



『では、早速ですがこちらをご覧ください』


執務室の椅子に腰をかけたまま、アレックスの差し出すファイルをアルベルト経由で受け取る。それを開いて一通り流し読んでみたが、思わず眉間に力が入ってしまう。


『……この内容が放送されるのは本当か?』

『はい。エリィ、ご説明して差し上げろ』

『はい、ハ~イ! 了解しまシタ!』


ピッ、となぜか軍隊式の敬礼をしたエリィは、兄の後を受けて新しい資料とともに詳しい説明をしてくれた。


『カイ殿下がバーク卿とお会いになった日に上層部のごり押しで決まりました。こちらの“偽りの王子の真実”って番組。要するに、カイ殿下の交換留学をスクープした内容で、あなたが国民を騙してたのよ~って点が不自然なまでにアピールされるみたいデス。
愛国心のあるスタッフは不敬にあたるって猛反対したんですけどね』

『なるほど、当然王室……というよりは、私に不利な情報ばかりをピックアップしてる可能性が高いな』

『はい。編集前の詳しい内容を抜くことが出来ましたので、表にしてみました。ご覧になってください』


エリィは詳細な番組内容を提出してきた。さすがに正規の手順で手に入るものではないだろう。受け取り眺めているうちに、いろいろと考えることが出来た。客観的に己の身を省みるということも。


(たしかに……身代わりの点を突かれると痛いのは確かだ。不誠実と言われても仕方ない)


血縁者とはいえ、身代わりとして他人が王子を演じていた。その点では国民を騙していた、嘘を着いたと言える。


そんな王子を民は支持しないだろう。疚しい点がないなら公表すべきだ。堂々と桃花を迎えるためにも。


(……ならば)


決意は、固まった。


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