Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
自分がもっと大人ならば、桃花の母に何かを話せていたのだろうか。今となってはわからないが、自分が関わりながら桃花の両親が亡くなってしまった現実は変わらない。
子ども部屋は、当然ながら“お姫様”と言えそうな内装だった。薄いピンク色のカーテンに白を基調にした壁紙。品が良さそうな木製の家具。たくさんのぬいぐるみ。
その中で一際目を引いたのが、シンプルな水色の布団。桃花が寝ているベッドだった。
二段目ベッドのうち下は妹が使っていると聞いていたから、目を覚ました彼女に「しっ!」と指を当てた。
「だぁれ?」
ピンク色のリボンで髪をまとめた妹は、ふんわりとした空気を持ち目がぱっちりと大きく、将来はかなり美人になりそうな整った可愛さを持っていた。わずか3歳なのに、突然現れた見知らぬ人間相手に騒がない。もう分別がつく利発さがあるらしい。
「起こしてごめんね。僕は君のお姉ちゃんに会いに来たんだ」
「桃花お姉ちゃんに? どうして?」
3歳とは思えないしっかりした口調に、面倒に感じながらも答えた。
「昔、会ったことがあるんだ。その時のことを謝りたいし、お礼も言いたくて。それで……」
話している最中に、苦し気な声が聞こえて口をつぐむ。
それは、上の方から――つまり、桃花から発されたものだった。