雨のち晴れ
「黒澤春菜に言いたいことがあります。君の暗闇での生活五年間は、けして無駄ではありません。確かに、君の同級生はたくさんの思い出を作ったり、恋をしたり、大学に行ったり、就職したりしているのに、君は五年間何もしてないかもしれない。君は少し乗り遅れたかもしれない。でも、君は逃げずに暗闇から抜け出すことができた。ちょっと遅れただけだよ。この五年間で、感謝の気持ちや思いやり、強さを、君は他の人が忘れかけていることを得ることができた。それだけで十分じゃないか。今、生きている人々の中で、君のように思いやりのある人は少なくなってきてるんだよ。だから、自信を持って。乗り遅れたなら、今からその分を掴んでいけばいい。君の未来はやっぱり明るい。」

春菜は橘の言葉を真剣に受け止めた


「今日をもって、黒澤春菜、君は暗闇から…卒業です」


「ありがとう…先生」


春菜はあふれる涙をこらえながら橘に言った


春菜のため込んでいた物が
少しずつ溶けていった
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