また、キミに逢えたなら。


“莉乃のことが、好きなんだ”



ありきたりな言葉でごめん。


だけどもう


この胸に秘めた想いをどう伝えればいいのかわからなかった。



ストレートに


単刀直入に言い過ぎたかな?



“ありがと、私もシロー君が大好き”



頬をピンク色に染めて、目に涙を浮かべながら莉乃は言った。



その顔があまりにも可愛くて、我慢出来ずに思わず抱き締める。


懐かしいその感触に胸焦がれる。



“シロー君……私、他に何もいらないよ”



“俺もだよ。莉乃がいればそれでいい”



抱き締め返して来る莉乃の肩を持って少しだけ引き離す。



そして


照れたように笑う莉乃の唇にそっとキスをした。




最期に逢えて良かった。



ごめん。


俺はもう……。



次の瞬間


光りが辺りを包んで何も見えなくなった。



莉乃の手の感触もスーッと消えて、辺りがまた闇に包まれる。


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