足首の長い髪
「もう、目を開けてごらん」
言われるままに、ゆっくりと目をあけてみた。
さっきよりも眩くて色鮮やかな現実の風景が目に飛び込んできた。
(生きてるこの世界って・・・ こんなに綺麗だったんだ・・・・)

「皐月ちゃん・・」
「先生・・・私・・・・」
「がんばったね、皐月ちゃん」
「鉄平くん・・・」

「あの人は?」
上半身を起き上がらせて辺りを見回すも、部屋には先生と鉄平ちゃんの
姿しかない。

「あぁ、勝也くんね、 玄関の足ふきマットを4枚も売りつけて帰ってったよー」
「あ、鉄平、 それなら学校の経費でなんとかするわよ」
「マジで? 助かる。この前買い換えたばかりなんだよ」

「あの・・・勝也くんって?」

「あぁ、寺おかかえの営業マンだよ。除霊もできちゃうって言う・・ククク」
「でも、彼、 ずっと固まってただけだったね」
「美智子ちゃん、 彼はさ、 あ・・・・これは言っちゃいけなかったんだった」
慌てて自分の口をふさぐ鉄平くん。
恐縮した太い筋肉質の肩に胸が押し出されて、マッチョなのに可愛らしい仕草をする。
その仕草があまりにも滑稽で、
言いたいことを忘れたかのように眺め続けている先生と皐月。

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